ペットロス

辛くなってくるのは全てが終わってからでした。

 

家にある全てのもの、道、河原、コンビニ、街全て。全てが思い出につながります。区内で歩いてない道はないくらい散歩しまくりました。

 

どこに居ても毎日毎日思い出します。

彼との思い出を考えると泣けてきます。

そしてよく言われますが、もっとこうしとけば、ああしとけばと考えまくって後悔するのです。それの繰り返しです。

 

決めてた事は一つ。カミさんとの間で辛くなるから彼の話はしない。コレは無しでした。無かったことにするのは嫌でした。でも話すと泣けてくるんですよね。

 

一番の心残りは平均寿命より早く亡くなったこと。彼に落ち度はないので自分らの責任。この考えに取り憑かれて落ち込みました。

 

どれだけ彼に感謝しても自分らの責任からは逃れられず。でも謝ると関係が否定されるようで葛藤が続きました。

 

彼はうちに来て幸せだったのだろうか?

こればっかり。ネガティヴですね。

 

2ヶ月ほど経って思ったのが、子供の数を超えるペットがいて、看取った人の数も無限大。人生は進んでいる。みな乗り越えて次へ進んだんだなと。自分もいつまでも囚われずに素直に有難うだけ言えるようにならなきゃ。と。

 

少し楽になりましたが、平均寿命にとどかなっかった事実は無くなりません。モヤモヤは続きます。

 

そんな中ペットロスで検索してた時に出会ったHPにこう書いてありました。

 

愛情は長さよりも深さ。

 

あっと思いました。

 

自分は誰より君を愛してる。確信してる。もう少し長く一緒に居たかったけど幸せだった。君の言葉は聞けないけどまた会おう。ありがとうね。

 

自分の気持ちとどう向き合うか。

思い出と一緒に前へ進んで行くのがいい。それでいいんだと思いました。

 

今もカミさんと普通に彼の話をします。

葬式とは

タクシーでお寺に着くと、写真を一枚下さいと言われそれが遺影になりました。

めちゃくちゃカワイイお気に入りの写真。

 

その後ご対面です。ウチらの即席ダンボールなどは何処へやら、体を拭いてくれて、鼻に綿も。そして華やかに飾ってくれてました。カミさんと泣きながら呼びかけました。ありがとうの言葉と共に。

 

お坊さんがお経をあげてくれて焼き場へ。

一番辛かったのは、炉の扉が閉まる時でした。

コレで本当に最後なんだと。カミさんと二人ぐしょぐしょです

 

焼き終わるまで別室で待ちます。カミさんと何話したかは覚えてません。

 

案内があり焼き場に向かいます。

 

向かいながら少しずつ自分が落ち着いてくるのが分かりました。この時思ったのですが、こう言う儀式や行事は起こった事を受け止めて受け入れられるように出来てるのかもと。

 

炉の扉が開くのを待つ間、ああ死んだんだなと。入れた時と同じ体制で骨となって出てきたのを見た時に本当に死んだんだと思いました。

 

骨の説明を一通り聞いた後骨を拾うのですが、頭を撫でてあげました。足の指が小いちゃくって凄く可愛いのでもらって帰りました。後は喉仏。

 

そして遺骨を持って共同墓地へ。

 

帰りはなんか晴れやかな気分でした。お葬式を出来て本当に良かったと思いました。

 

ご苦労様でした。そしてありがとう。

またね。

死後の準備

7月13日

カミさんも自分もほぼ寝ずに朝を迎えました。

朝見ても同じです。

ダンボールにタオルを入れてその上に彼を置き、回りにアイスノンを敷き詰めました。

ただ眠ってるように見えます。

体を触ると冷たいので亡くなったのがわかります。カミさんと何度も体を撫でました。

 

遺体をどうするか。次の問題はコレです。季節は7月。

 

カミさんはもう少し置いといてもと言いますが、私はどうしても今日中に対応したいと思いました。中途半端な感じがお互いに良く無いと思ったからです。

 

ネットで業者を見ましたがなんかピンと来ませんでした。カミさんが動物病院に紹介してもらおうと言うので9時まで待って電話しました。

 

幾つか教えてくれhpを確認して決めました。2時間後に遺体をひきとりに来るとの事。その後何時に来てくださいと言われました。

 

少し時間が出来たので河原に花を摘みに行きました。カミさんがムラサキツメグサをキレイに飾ってくれました。迎えが来て宜しく言って彼のいない部屋に戻りました。部屋が無機質な感じがしたのを覚えてます。出かけるまでゴロゴロと過ごしました。

 

 

 

 

7月12日 2

年末から続くいつもの風景。

点滴入れたし今日はみんなゆっくりできる。

少しホッとできる日。

そう、繰り返して来たいつもの事。

 

水分を点滴で賄えるので用事を優先しようと、夕方まで2度出かけました。彼は留守番です。

 

帰ってきてごろごろして、ふと机の下で横になっている彼を見るとベロを出して寝ているのに気づき!?と思い慌てて抱き抱え蘇生させました。コレも日常になってました。

 

食事も終え夜のトイレがてら外に。何も出ませんでした。

 

家に戻ると台所の冷蔵庫の前で寝そべってたので、自分も隣に座って扇風機を付けました。

 

少しして、彼がむくっと起き上がり寝そべってる自分の上に乗って来ました。

嬉しくて思わず背中を撫でてしまい、彼はトイレの方へ行ってしまいました。

 

病気のせいで神経が過敏なのか撫でると嫌な気分になる様です。しまった。と思いつつ彼を見ると向こうで寝そべってるので、自分も隣の部屋でネットを見ていました。

 

少ししてゲップのような音がしました。

 

大丈夫かなと見に行くと、ベロを出して伸びていました。そう見えました。直感ですがもう助からないと思いました。

 

彼を抱き抱えカミさんのところへ行きました。

 

もしかしたらカミさんが助けてくれる。そんな事を考えました。カミさんにまた失神したと言いつつゲロを吐いてないかトイレに見に行きました。

 

本当は逃げたのです。

 

カミさんが大きな声で呼びました。

慌てて戻ると、ダメ死んじゃう。と。

そのままカミさんの胸の中息絶えました。

 

1:13分

 

なんか受け入れられないですね。

だってそこに居るんですから。動かないだけで。時間を置いて撫でに行って起きないかなとか何回もやってました。

 

7月12日

7月に入って、25日が誕生日なのでもうすぐ14歳。

年末から始まって早7ヶ月。

この生活も当たり前になり、いつしかこれが自分の人生になってました。

ズーッと続くと思ってました。

 

暑くなり調子が落ちたのか、週2回また点滴に通うことにしました。

忘れちゃいましたが血液の何かの値が低く、そのせいか酸欠気味なので

増血作用を促す注射を打ってもらいました。

ただ何度も打てるものではないので今後どうするか悩みどころです。

ネットで貧血用にペットチニックが良いと聞き購入しました。

 

調子は戻りませんが、病気になりアップダウンを繰り返してきたので、

そんなものとして受け入れました。

 

寝てると心臓に違和感が出るのか、すっと起き上がって少しウロウロしてまた寝るようになりました。ズーッとは寝てられないのかと思いました。

 

それでも机の下で幸せそうな寝顔を見つけると、嬉しくなります。

同じ部屋にいて気がつくと自分のことを見てることがありました。

写真撮りました。今もたまに見返しますが可愛い顔してますよね本当。

 

12日午前中病院へ行きました。その時先生に

「短期間で100g落ちてるので、注意が必要かも。」

と言われました。

 

それから公園でトイレさせて帰りました。

先生の言葉は、引っかかりましたがすぐ忘れました。

 

僕等は彼を留守番させいつものように買い物に行きました。

忘れられない1日3

経験した事のない、なんとも言えない時間でした。


もしかしたら、もう会えないかも。

そんな言葉を振り払いながら、ズーッと壁の時計を見てました。


一言もしゃべらずただジッと時計を見てました。カミさんも同じだった気がします。


30分か40分か。


隣のすすり泣いている声を聞きながら時計をぼんやりと見てました。


名前を呼ばれました。


ついにきた。と。

立ち上がってドアを開け先生の顔を見ました。


ありました。


ゾッとしました。凸の字に折れ曲がった巨大な串がそこにはありました。こんな物どうやって飲み込んだんだよ。と思うくらい巨大に見えました。


ちょうど胃に落ちる直前の食道に引っかかっていたそうです。胃に入っていたら大変でした。と。


彼は麻酔が抜けるのにしばらく安静にしてます。大丈夫です。と。


この時初めて助かったと実感しました。

なんとも言えない安心感と脱力感。


安心したら感謝の言葉が自然と出ちゃいました。まるでドラマかと。大袈裟でなく圧倒的で偉大な存在に感じ、このような感情になる自分にさらに驚きました。


ヒーロー現る


奥の部屋のケージで静かに横たわる彼を見せてくれました。



忘れられない1日2

タクシーを飛ばす事15分。

病院到着。


インターホンで要件を伝え2階へ。待合室には先客が二組。深夜0時くらいでしょうか。受付をすまして、クレートを抱え、呼び出されるのを待ちます。


程なくして名前を呼ばれて診察室へ。

若い先生ででした。失礼ながら大丈夫かなと。経緯を説明し彼の病気も説明しました。まずはレントゲンで見てみましょうという事で、お願いしますと彼を預けて待合室へ。


竹串は写りにくいとも言われました。麻酔はNGなのでレントゲンでハッキリしてくれればと祈りました。


ズーッと壁の時計を見ていました。右側からボソボソと話し声が聞こえます。左側からはシクシク泣き声が聞こえます。自分はモヤモヤしたまま時計を見てました。時々カミさんが喋りかけてきますがあまり聞いてませんでした。


30分くらいですか、呼び出されて緊張気味にドアを開けます。写真がホワイトボードに貼ってありました。


結果は何も写りませんでした。終わらない緊張感。食べた確証はありません。後は内視鏡で見てみるしか無いと。状況によっては手術になるかもしれません。


どうしますか?


どうしますかって?

麻酔は体が持たないって言われてるし。でも串を飲んでいれば非常に危険だし。でも帰って家探ししたら串が見つかるかもしれない。30分もらって急いで帰れば確認できるか?とか。グルグルよぎります。


どうしますか?


全く答えが出ません。


妻が「お願いします」と言いました。


「えっ」

「お願いします」


何も言えませんでした。

それでものすごくホッとした記憶があります。

ダメな男。


それから内視鏡の説明を受け、誓約書にサインをしました。奥のドアから彼の声が聞こえました。


目が覚めない事もあるのか。いいのか?


いや!あるかそんな事。


先生よろしくお願いします。


テレビとかでよく見るシーン。

こんな気持ちなのか。と思いながら再度待合室へ。