忘れられない1日2

タクシーを飛ばす事15分。

病院到着。


インターホンで要件を伝え2階へ。待合室には先客が二組。深夜0時くらいでしょうか。受付をすまして、クレートを抱え、呼び出されるのを待ちます。


程なくして名前を呼ばれて診察室へ。

若い先生ででした。失礼ながら大丈夫かなと。経緯を説明し彼の病気も説明しました。まずはレントゲンで見てみましょうという事で、お願いしますと彼を預けて待合室へ。


竹串は写りにくいとも言われました。麻酔はNGなのでレントゲンでハッキリしてくれればと祈りました。


ズーッと壁の時計を見ていました。右側からボソボソと話し声が聞こえます。左側からはシクシク泣き声が聞こえます。自分はモヤモヤしたまま時計を見てました。時々カミさんが喋りかけてきますがあまり聞いてませんでした。


30分くらいですか、呼び出されて緊張気味にドアを開けます。写真がホワイトボードに貼ってありました。


結果は何も写りませんでした。終わらない緊張感。食べた確証はありません。後は内視鏡で見てみるしか無いと。状況によっては手術になるかもしれません。


どうしますか?


どうしますかって?

麻酔は体が持たないって言われてるし。でも串を飲んでいれば非常に危険だし。でも帰って家探ししたら串が見つかるかもしれない。30分もらって急いで帰れば確認できるか?とか。グルグルよぎります。


どうしますか?


全く答えが出ません。


妻が「お願いします」と言いました。


「えっ」

「お願いします」


何も言えませんでした。

それでものすごくホッとした記憶があります。

ダメな男。


それから内視鏡の説明を受け、誓約書にサインをしました。奥のドアから彼の声が聞こえました。


目が覚めない事もあるのか。いいのか?


いや!あるかそんな事。


先生よろしくお願いします。


テレビとかでよく見るシーン。

こんな気持ちなのか。と思いながら再度待合室へ。